配置・採用

【パーソナリティ】採用や配置時における性格の考え方

人を採用したり、ポジションに配置するときに、どんな性格の人を選べばいいんだろう?

採用活動時に、求めるスキルの他にどんな性格の人を選べばよいか考えることは、よりよい組織を創るうえで一つの観点となります。

その性格を「パーソナリティ」と呼び、「状況や時間を超えてある程度一貫し安定した、その人らしい独自の行動の仕方を決定する心理的特性」と定義されます。

今回は、パーソナリティについての、その着眼点を紹介します。

まずは組織戦略にあった性格の人

スポーツにしろ、企業活動にしろ、ゲーム・勝負においては作戦(戦略)があります。

どのように勝つのか、どのように差別化するのかについて、戦いを有利に進めるための道筋です。

そしてその作戦は環境・組織において千差万別で、それぞれの文脈における特殊解と言えます。

よって、まずは「どのように勝とう」としているのかを理解し、その作戦にあった性格の人を登用すべきだと考えます。

例えば、ガンガン顧客回りして、その手数が勝負であれば断られてもめげない性質であったり、お客さんの気持ちに寄り添って共感を築くことが勝負ポイントであれば温厚な人であったりします。

「どんな組織にしたいか」が一つの出発点になります。

類型理論 - 気質類型

その上で、一般論として性格が組織にどのような影響を与えるかについて紹介していきたいと思います。

初めに紹介する「類型理論」とは、個人をいくつかの典型に区分し、その特徴を記述することによって人間を捉えようとする理論です。

血液型占いは、一つの類型理論といえます。

有名な類型理論に「クレッチマーの気質類型」があります。これは人間の体型に応じて、性格を分類するものです。

  • 肥満:躁鬱性気質。優しい、協調的、温厚
  • 細身:分裂性気質。静か、控えめ、自閉的
  • マッチョ:粘着性気質。粘り強い、礼儀正しい、頑固

ただ、血液型と言われて感じる通り、そんなに人間を単純に分けられないという点には注意が必要です。

特性理論 - ビックファイブ

特性理論」は質問紙や面接などの手法を用いて、測定される行動や思考などからパーソナリティの特性を列挙するものです。

その中で一番有名なのが、「5大因子理論」で「ビックファイブ」と呼ばれる特性分析です。

これは様々な特性理論で検証された個人の特性について、以下5つの特性が安定的に因子として見出されるために、人間の性格を包括的に説明する理論ではないかと注目されています。

ビックファイブ
  1. 外向性
    社交的で外界に積極的に働きかけていく。はっきりと自己主張。社交的、人づきあいが良い、表現豊か。
  2. 情緒安定性
    心の落ち着き具合。神経質で落ち着きがないかどうか。くよくよしない、感情的安定。
  3. 調和性
    利他的で慈愛に満ち、他者に思いやりのある人柄や性格。礼儀正しい、柔軟、信用できる、寛大。
  4. 誠実性
    勤勉さや熱心さなどの意欲面を含み、真面目で実直、誠実な人柄。頼りになる、責任感が強い、注意深い、我慢づよい。
  5. 解放性
    知的なことを好み、新しいもに積極的に関わっていく性格。芸術的、創造的、新しいもの好き、教養のある。

そして各性格は以下の組織上でのパフォーマンスとの関係が確認されています。

特性相関
外向性営業成績や管理職適正
情緒安定性昇進の速さ
調和性上司からの評価
誠実性多くの職業において広くパフォーマンスが高い
解放性トレーニング効果が高く伸びる

一般的な観点として「誠実」な人は、パフォーマンスを発揮してくれる可能性が高いです。

また、当たり前ですが営業職においては「外向性」が必要になります。

商品開発や研究開発の登用においては、「解放性」の観点での見極めが重要です。

リーダーの特性研究におけるビックファイブの関りについては、以下の記事をご参照ください。

その他の着目すべき性格

ローカスオブコントロール

自分に起こる出来事の原因を、外部環境に求めるか、自分の内部要因に求めるか性格が分かれます。

自分に求める場合はローカスオブコントロールは内部統制型といえ、自分で自らの運命を切り開けると思っています。

一方、外部環境に求める場合は外的統制型といえます。

これまでの実証で、外的統制型の方が仕事への満足感が低く、孤立し、仕事への関わり方が少ないとわかっています。

面談を通じて「自責」で物事を捉えているか、「他責」な発言がないかは、一つの大切なポイントとなります。

自尊感情

自分のことを好きであるか嫌いであるかの程度の差があり、自分を認められる感情を「自尊感情」といいます。

自尊感情が高い人は、自分の成功を信じて自ら考えて行動できる傾向にあります。

一方で低い人は他者のことを気にする傾向にあり、依存してしまうこともあります。

指示待ちでは困るというポジションの場合、自分を信じることのできる人材を登用することが必要です。

自己監視性

自己監視性は外部環境に敏感に反応し、行動を変容させることができる性格のことです。

この要素が高い人は政治的な駆け引きが求められるような仕事に向いているかもしれません。

リスク志向性

少ない情報で意思決定を速やかに行うか、もしくはじっくり検証をして物事進めるか、人によって差があります。

前者はリスク志向性が高く、後者は低いと考えられます。

即断即決が求められるディーラーなどではリスク志向性の高い人が、監査等の間違いのない判断が求められる仕事では、リスク志向性の低い人が向いています。

まとめ

まずは組織が必要とする人材タイプを考える

迷ったら誠実な人

すぐ人のせいにしてしまう人は危険

自信の有無はキーポジションへ登用する際の大事な要素の一つ