会社を良くする戦略を考えたいけど、どうしたらいいかイメージが沸かない。。。
会社において、「高い目標」は簡単に掲げることができますが、実際どうやって達成していくのか、その「戦略」についてクリアに示されることは、決して当たり前のことでは無いと思います。
「目標は分かったけど、どうしたらいいんだよ。。。」
という声は、現場で何度も語られる言葉です。
そのうち、「またか」という対応になり、最悪のケースは会社のメッセージに対して無関心になってしまうかもしれません。
この事態を防ぐためにも戦略的に考える思考力を習得したいですが、なかなかイメージを持つことが難しいです。
その際、「事業戦略で会社を良くするとはどういうことか」ということについて、「戦略プロフェッショナル(三枝匡著)」がロールモデルとなり学ぶことができます。
今回は本書について紹介します。
戦略プロフェッショナル」の内容全体の流れ
第一製鉄の新事業開発部で働く広川洋一(主査)は、多角化経営のために参入することが決定された新規事業「新日本メディカル」の常務として経営に参画します。
戦略プロフェッショナルとして、どのように事業を成功に導いていくのかが、ストーリー調で描かれています。
なお、この「広川洋一」のモデルは著者本人だそうです。
広川洋一のとった行動
- プロダクトライフサイクルを用いた事業の現状分析
- 注力事業の値決め
- 営業課題に見極め
- 戦略に沿った組織変更
- 販売網の変更
- 市場をセグメント化(どこに注力、どこを捨てるか)
それぞれのポイントについて、どのように考え意思決定していったのかを学ぶことができます。
企業を変える事業戦略のキーワード
本書の中で、「企業を変革するために必要なことについて印象に残った学び」として、以下のことがあります。
戦略の肝は「絞りと集中」
成長戦略において一番大事なことは、いかに戦う場所を「絞り」、資源を「集中」することができるかと述べられています。
「小さくても良いから一番になること」
これが成功への第一歩のようです。
同時に、「戦略はシンプルでないと効果がでない」ということも示されています。
シンプルに戦略を伝える一つの方法としても、「何をして何をしないのか」というメッセージは効果的だと感じました。
トップが戦略的であること
企業変革を実現する前提条件として、「トップが戦略的な判断の視点、見識、センスを持っていること」の必要性が書かれています。
「戦略不在のまま、我慢強く繰り返しコミュニケーションしても何も変わらない」ようです。
必要なのは、トップの戦略的思考に基づく「単純な目標と実現を支援するプログラム」とのことでした。
戦略理論は使える
戦略理論は、どうしてもお勉強になってしまい、実戦的価値を得ていない現状があることを著者は指摘しています。
だからこそ、実際に使いこなせたときには大きな効果があることを教えてくれています。
貴重な情報の在りか
「事業戦略を考えるうえで必要な情報が揃っていない」という悩みがあるかもしれません。
そのことについて本書では、実は情報は社内に転がっていて、その情報にいいかに「意味をつけて発信する」かが重要だとしています。
負け企業の特徴は組織文化に表れる
本書では勝っている組織と負けている組織の文化の違いが対比表で示されています。
上手くいっていない企業に共通するのは「内向き志向」で現場にも活気がないようです。
アクションアイデア
いきなり戦略を思いつくのは難しいです。
ただ本書の内容から、思考力を高めるために以下のことができるのではないかと考えています。
トレードオフを確認する
何か企画をする際、どうしても「あれもこれも」と全てをカバーしようとしてしまいます。
これは「絞りと集中」の精神に反します。
よって、一つの訓練として企画時に「何をしないのか」を明確にするのは戦略的思考を養う機会になるのではないでしょうか。
社外の人にアイデアを話してみる
同じ社内の人は、同じ言葉を使い、同じ課題意識を持っているので、自分の話す内容を理解してくれやすい人と言えます。
よって、少しくらい複雑な内容でも理解をしてくれる可能性があります。
そこで全く別の環境の人に、自分の企画を話してみると、その内容は本当に理解しやすくシンプルなものであるかを試験することができると思います。
まとめ
絞りと集中が最重要
オフィスが静かになったら危険信号!
【書籍紹介】