書籍紹介

【×やる気】人の行動を決める要因ー行動分析学的考え方【〇環境】

頭では変えたいと思っていても、なぜ同じ行動を続けてしまうんだろうか。

禁煙、ダイエット、仕事のやり方、等々

人は様々なことについて、自分を高めるために努力したいという気持ちを持つことができます。

しかし、頭では「食べすぎは良くない」と分かりながらも、夜中にインスタントラーメンを茹でてしまいます。

この状況について、「意志が弱い」という考えることはできます。

一方「行動分析学」という心理学では、意思ではなく「環境」が人の行動を決めると考えます。

今回は、杉山尚子氏の「行動分析学入門」という本から、行動を決める要因の一つの考え方を紹介します。

行動分析学とは

行動分析学とは、行動の原因を分析する心理学の一種のようです。

ヒトの行動の背後には、人々が無意識に影響を受けている「行動の法則」があり、それを解明するのが行動分析学です。

本研究は、自閉症、発達障害、教育、スポーツのコーチングなどに活用されており、人事的に関係がある「組織行動マネジメント」も研究分野となっています。

行動分析学で取り扱わない考え方

行動分析学では、以下のアプローチの仕方はしません。

  • 神経生理的な説明:脳や神経系によって引き起こされる
  • 心的な説明:行動の原因は心にある
  • 概念的説明:能力、本能、性格、才能に原因がある

「脳の仕組みとして、この行動が引き起こされた」

「心が落ち込んでいたので、この行動を取れなかった」

「才能があったので、この行動を取ることができた」

上記のような説明は行動分析学では行いません。

行動分析学で取り扱う考え方

行動分析学で対象とするのは以下のアプローチです。

  • 遺伝的説明
  • 過去の環境要因による説明
  • 現在の環境要因による説明

特に、本入門書では「現在の環境要因による説明」がメインである印象を受けました。

「今の環境がこうであるので、この行動をとった(とっている)」ということを説明しています。

行動随伴性が行動を決める

行動分析学で行動を説明する際に重要な考え方が「行動随伴性」です。

行動随伴性(Behavioral contingency)は「行動とその直後の状況の変化との関係」という意味で、この状況の変化=環境が、人の行動を呼び起こしているようです。

「行動した結果起こること」が行動を決めているので、才能ややる気という個人攻撃にならない分析ができるのが特徴です。

行動随伴性のパターン

具体的には、以下4つの行動随伴性が人の行動を規定しているとのことでした。

なお、本学問では行動随伴性の説明に「好子」と「嫌子」という専門用語が使われていますが、自分なりに分かりやすくかみ砕いて紹介したいと思います。

変化による強化

一つ目は、「何か変化が起こるから、人は行動する」という行動随伴性です。

例えば、「人がメガネをかける」という行動は、その結果目が良く見えるという変化が起こるために行動が引き起こされ、繰り返されると考えます。

目が見えない(状態)→メガネをかける(行動)→目が見える(状態の変化)

トイレに入るときに電気をつけるのも同じ理由で説明できます。

逆にトイレから出る時は、トイレの状態の変化が確認できないので、電気の消し忘れが起きるようです。

消失による強化

二つ目は、「何かが無くなるから、人は行動する」というものです。

例えば、「雨が降ったので傘をさす」という行動は、その結果雨に濡れなくなるという消失が起こるために行動が引き起こされ、繰り返されます。

雨に濡れている(状態)→傘をさす(行動)→雨に濡れない(消失)

上司に説教されて、悪いとは思っていなくてもすぐに謝ってしまうのは、「怒られている」という状態を消失するために行動していると説明されます。

変化による弱化

三つめは、「何か変化が起こるから、人は行動をやめる」というものです。

例えば、「熱いストーブに触らない」という行動は、ストーブに触ることによって手が火傷するという変化が起こるために行動が止められます。

火傷していない(状態)→ストーブに触る(行動)→火傷する(変化)

消失による弱化

四つ目は、「何かが無くなるから、人は行動をやめる」というものです。

例えば、「友達を非難しない」という行動は、友達を非難することによって友達を失うという消失が起こるために行動が止められます。

友達がいる(状態)→非難する(行動)→友達がいない(消失)

60秒ルール

さらに理解が必要なポイントとして、行動を引き起こす行動随伴性は、行動の直後に起こる必要があるという点です。

凡そ60秒以内に起こる変化や消失が、人の行動を操作していると考えられています。

本書では禁煙を例に、もし喫煙後すぐに(60秒以内に)肺がんになるのであれば、人は煙草を吸わなくなるという例を挙げています。(変化による弱化)

しかし現実には喫煙後すぐに起こる変化は喫煙によるリラックスであり、行動は強化されるので、行動分析学的には人は煙草を吸い続けることになってしまうと考えます。

会社生活において、もしメンバーが良い行動(悪い行動)をした時も、それを継続(中止)させるには、即フィードバックすることが重要と言えます。

行動を変える方法

上記行動随伴性を理解したうえで、具体的にどうすれば行動を変えることができるでしょうか。

本書から以下3つの方法を紹介します。

シェイピング

頭では求められる行動がわかっていても、それを実行できるスキルが無いということがあります。

その際に活用できるのがシェイピングです。

シェイピングは「現時点で達成可能な目標を設定し、それが安定して達成できるようになったら少しずつ目標を引き上げ最終目標を達成すること」です。

シェイピングで実行可能スキルを身に着けるには以下三つのポイントがあります。

  1. 即時強化
    定めた目標を達成したら即フィードバックする
  2. 目標を少しずつ引き上げること
    挫折させないために目標設定レベルに気を遣う
  3. 挫折をした時の対処の仕方
    少し目標レベルを下げる(ひとつ前、ひとつ前との中間等)

チェイニング

身に着けようとする行動が単純なものではなく、複数のステップによって成り立っている場合があります。

その際は、そのステップを明確にすることで、最終的な行動が達成される確率が高まります。

プロセス一つ一つを書き出し、課題分析をして、プロセスを順序正しく遂行するように繋げていくことを「チェイニング」と呼びます。

例えば、「営業が受注する」という行動には、訪問、対話、ニーズ確認、見積もり作成、プレゼン、成約等のプロセスが存在します。

そのプロセスを明確にすることと、それが出来ているか出来ていないかを確認し、それぞれの行動を強化していくことで、最終的な受注に繋げるという手法です。

抹殺法

先ほど取り上げた禁煙の例で、喫煙によって起こる行動随伴性は強化に働くため、普通に暮らしていたら喫煙をやめることはできないことを挙げました。

この場合、禁煙をする方法として示されているのが「抹殺法」で字のごとく関係するものを排除することで行動が変わるというものです。

  • 喫煙であればタバコやライターを捨てる
  • ダイエットであればお菓子を買わない
  • ゲームを辞めたければ携帯からアンインストールする

などなど、求める行動に不要なものを排除することで、行動を変えることに繋がるようです。

最初の捨てる行動に意志が求められる気もしますが。。。

まとめ

人は行動した結果、即起こる望ましいことによって、行動を決めている

何も起こらなければ行動しない

目標や過程を細分化し、一つずつの達成を積み重ねるのが効果的

【学習文献】