集団・組織文化

【組織市民行動】お互いのことを思いやれる職場作り【効果とメリット】

どうしてうちの職場はこんなにギスギスしてるんだろう?

毎日働く職場。

できれば皆が思いやりを持って働ける場所だと働きやすいですよね。

例えば、以下のような職場の雰囲気は良さそうです。

  • 就業時間は一生懸命仕事している。
  • その中で、自分の仕事でもないのに困っている人を助ける
  • また、他の人の意見を尊重しようという気持ちがある
  • 組織への不平不満が少ない
  • 組織のイメージアップに尽力する

逆に、毎日次のような職場で働くと思うと、気分が下がります。

  • 他の人のミスを知らんぷりして無視
  • 不必要に休憩や雑談ばかりする
  • 不必要に対立を起こす
  • 会社のあらさがしばかり
  • 会社のイベントは全然盛り上がらない。

組織行動学の観点からは、この差は所属する人たちの「組織市民行動」の量の差と考えることができます。

今日はこの、「組織市民行動」について紹介します。

組織市民行動とは

組織市民行動は、1980年代前半から活発になった比較的新しい研究領域で、英語では「Organizational Citizenship Behavior」と言います。

Citizenshipだから「市民」という単語が出てくるんですね。

具体的には、以下の通りいくつが有名な定義があります。

「組織の従業員が行う任意の行動のうち、彼らにとって正式な職務の必要条件ではない行動で、それによって組織の効果的機能が促進されるもの」(Organ,1988)

「組織に貢献するさまざまな個人的活動のうちで、強制的に任されたものではなく、正式な給与体系によって保証されるものでもないもの」(Konovsky,1989)

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「自由裁量的で、公式的な報酬体系では直接的ないし明示的には認識されないものであるが、それが集積することで組織の効率的および友好的機能を促進する個人的行動」(Organ, 2006)

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要するに、誰からも頼まれていないのに、自ら仲間のために役に立つことを率先してやってあげることということです。

思いやりがあって面倒見が良いというイメージです。

組織にどんなメリット・効果があるの?

組織市民行動を取る人や組織には、以下の効果・メリットがあると考えています。

  • 高業績な個人が誰であるかを予測できる。
  • 組織の雰囲気が良くなる。
  • 顧客満足度が高くなることが予測できる。

個人の業績を決定づける重要な要素として、「生産性、常習的欠勤、転職率」が挙げられていましたが、その4つ目の行動として、この組織市民行動が注目されています。組織市民行動が取れている個人は高業績を上げる可能性が高いと考えられます。

また、当たり前ですが職場の雰囲気は良くなります。

さらに組織市民行動を取れている個人の方が、そうでない個人よりも顧客への高いサービスレベルの提供と顧客満足度を得ているという研究結果も出ています。

行動を促進するために大事なことは?

上記通り、組織にとって良いことばかりの組織市民行動ですが、本行動を促すには組織のどのような要素が大事になるのでしょうか。

現在、その主な要素として以下の2つが挙げられています。

組織からの公平な取り扱い

前提条件として、組織に対して不公平感を抱いていると、本行動は促進されないようです。

よって、もし職場がギスギスしている場合、もしかすると何か不公平感を募らせてしまうコミュニケーション、昇進、報酬、業務分担などがあるのかもしれません。

まずは、不公平感を払拭することが第一歩となりそうです。

職務への満足度

組織内での公平性が担保されたうえで、個人として自分の業務に満足していると、本行動が促進されます。

どうすれば、職務満足が高まるかについては別途検討したいと思いますが、まずは仕事が楽しくないと、他人にまで気を回す気が起きないということを抑えておきたいと思います。

【結論】

お互いのことを思いやれる職場を作るためには、公平で楽しい仕事が提供できれば、職場の雰囲気は好循環していくと考えることができます。

【本記事で引用した文献】