報酬

【Pay for Performance】組織の成果に結びつく報酬の設定方法

組織のパフォーマンスを高めるために、報酬制度をどのように活用できるだろうか?

組織で働いている中で、組織から得られる報酬はメンバーが貢献し続ける一つの理由となります。

今回は、どのように報酬を設定することが、パフォーマンスを高めるために効果的であるかを紹介します。

職務か人か

報酬制度を決める時には、その「仕事」に対して払うのか、「人」に対して払うのかが、大きな選択です。

欧米では仕事によって報酬が決まり、日本では能力によって決まるという一般的な傾向はあります。

これは、欧米においては人材の流動性が高く、求める仕事の労働市場が形成されていて、タイムリーな人材の調達が可能であるため、上手く機能する方法と言えます。

終身雇用が当たり前でなくなり、若手はどんどん辞めていくことが当たり前になると、日本でも仕事を軸に報酬を設計する組織が増えてくるかもしれません。

本選択は良し悪しがあり、組織の戦略に応じて決めていく必要があります。

基準メリットデメリット
仕事・業務に対する適正な支払い
・処遇の納得感が得やすい
・流動的な活用が困難
・ポジションに依存
・柔軟な人材活用
・ポジションに依存しない
・広い視野を持ったGeneralistの育成
・成長の限界
・報酬水準の高止まり
・古いスキルへの支払い

成果報酬による動機付け

“Pay for Performance”と呼ばれる成果に対して報酬を変動させる成果給は、意外と効果があるという研究結果が出ています。

その理由は、働く人の仕事に対する期待価値が高まることと、自己効力感が高まるためと考えられています。

動機づけにおける期待理論と自己効力感については、以下の記事をご参照ください。

成果報酬の仕分け効果

成果に応じて報酬に差をつける「成果報酬」を導入すると、「仕分け効果」で組織パフォーマンスが向上する場合があります。

あるメーカーが、成果報酬の比率を増やした結果、生産性が向上しました。

その理由を分析してみると、半分は動機づけられたメンバーによる成果の向上で、半分は成果のあがっていなかった人が辞めて、より成果を上げる人が加わったことでした。

「成果を上げる人ウェルカム!」という方針が、人の入れ替えを促進した結果です。

このメッセージに応じた人員構成に変わっていくことを仕分け効果と呼びます。

報酬制度はインパクトのある会社からのメッセージであるといえます。

成果報酬の注意点

動機付けにつながり、仕分け効果もある成果報酬ですが、やりすぎによる弊害も指摘されています。

  • 内的動機付けを阻害する
  • 短期志向になりすぎて、長期的な視点が欠落してしまう
  • 自分の成果のために協調行動が阻害される

課題に取り組むこと自体が、自分の成長や興味に繋がっている=内発的報酬になっている場合に、外的な報酬として金銭が与えられるとその活動自体に本心からの興味を失ってしまう可能性があります。(アンダーマイニング現象)

外的報酬=飴と鞭はアルゴリズム的な仕事には効果的です。単純作業でやることが決まっていてその効率を競う場合には、出来高に応じた金銭的報酬は効果を発揮します。

一方ルーティンワークではなく、創造性が求められる仕事の場合には、アンダーマイニングに注意が必要です。

その場合はNow that(思いがけない、約束されていない)報酬を与えることが考えられます。約束された金銭ではなく、成果が出た時のタイムリーな賞賛やフィードバックが報酬となり、動機づけを継続させることができます。

また、そのような業務を与える環境は、「自律性、熟達性、目的性」という要素が満たされた場が有効です。自分のやりたいように、上達しながら、意味を感じられる仕事をすれば、自然とやる気が高まります。

まとめ

成果を高めるために成果報酬を与えることはある程度効果的。

特に、単純作業に対しては意味がある。

報酬を考える際は金銭以外の内発的報酬も要検討。

【参考文献】