お客さんとの信頼関係を構築するにはどうすればいいんだろうか?
人事機能で働いていると、「幹部含む社員全員」が主な顧客となります。
この顧客と信頼関係を築けないと、意義のある仕事はできません。
社員との信頼関係がないと、現場で何が起きているか掴めず、本当の課題がわかりません。結果として机上の空論で何かを動かすことで、組織を悪化させてしまうこともあり得ます。
また幹部との信頼関係がないと、せっかく組織にインパクトのある課題を見つけても、意思決定を引き出すことができず、物事を動かすことができません。
今回は、朝倉千恵子氏の「信頼関係の作り方」という本で学んだことと、自分の経験をもとに、信頼関係構築力の高め方について考えていきます。
信頼関係構築に一番大事なこと
信頼関係を築くために一番大事なことは、「接点の量」と述べられています。
「行動の積み重ね」が『信頼関係』を築く。 そして、相手との人間関係、信頼関係を構築するためには、とにかくお客様(人)と逢うこと。連絡を取る回数、この逢う回数が非常に大切なのだと……。 何を言っているかよりも、何をやっているのか。 言葉以上に、行動が大事だと思っています。
朝倉千恵子 信頼関係の作り方(フォレスト出版株式会社)
接点の量は能力に関係なく高められる可能性がある点で希望があります。
また自身の経験を振り返っても、会う頻度は大切だと感じます。
以前に、少し気難しいリーダーの組織を担当したことがあります。
その時、最初は嫌だなと思いましたが、そのリーダーが言っていること、その奥にある想いを理解しながら、自分の賛同できる部分について、自分ができることを打ち返し続けていたことがあります。
そして自分が異動して担当から外れるときに、「私が良いというまで、どこにも行くな」ということを、そのリーダーなりの誉め言葉としていただいたことがあります。
この関係性構築も、結果としては「接点の量」が大きな要素であったように思います。
接点を増やすために必要な信念
では、どうすれば接点を増やすために行動をし続けることができるのでしょうか。
著者は「信念」=「ブレない軸」を持つことだとしています。
では、どうすれば行動を積み重ねていけるのでしょうか。 そのコツは、行動するための条件・基準を持つ。つまり、自分の中に「信念」を持つということになります。
朝倉千恵子 信頼関係の作り方(フォレスト出版株式会社)
著書の内容を踏まえ、ブレない軸をもつ重要性は以下の点にあると考えています。
嫌われる勇気が生まれる
人と会う際には、「断られたらどうしよう」、「嫌われたらどうしよう」という恐怖が起こります。
その恐怖を乗り越えるには信念が必要です。
嫌われるかもしれないが、「これは自分のやりたいことなんだ」、「これは相手の為になることなんだ」、「組織の成長に重要なんだ」という自分の軸があれば、恐怖を乗り越えられる可能性が高まります。
逆に、自身に腹落ちしてないことを進めるのは難しく精神衛生上良くないと経験上思います。その時はまず、自分がやろうとしていることの意味を自分なりに見出すことが第一歩になります。
本心を言うことで言動に一貫性がでる
さらに、信念により自分の言動に一貫性が生まれます。
人は「本心」を語る人を信頼すると本書で述べられています。相手に合わせて本音を語らず、のちに全く逆のことを伝えてくるような場合、人は相手を信頼することができません。
よって、信頼関係構築のためには、信念をもとに自分の言動に責任を持つ気持ちが必要になります。
また、本心を語れるようになり、相手が自分を信頼できると思ってくれれば、次回接点を増やすために会えるハードルも下がっていきます。
しかし言うは易しで、どの状況においても自分の思ったことを率直に伝えるのは難しいです。
そのために、ブレない軸が必要になります。
ブレない自分軸の作り方
簡単ではない
自分の軸があれば、恐怖に負けず行動を起こすことができ、相手からも信頼を得られるとしても、軸の構築は容易ではないようです。
自分の『信念=軸』が、簡単に見つかるものでしょうか? 答えは「ノー」です。「自分の信念がわからない……」という人の方が圧倒的に多いのです。 そもそも、自分の『信念=軸』を見つけることは、そうたやすいものではありません。 さまざまな失敗や経験を経て、悩み苦しみながら自分を知り、ブレない軸を探していくのです。 ですから、「自分には信念がない……」と言って落ち込む必要も、あせる必要もありません。簡単に見つからなくて当たり前なのです。
朝倉千恵子 信頼関係の作り方(フォレスト出版株式会社)
軸を見つける方法
本書では、簡単には見つからない軸を見つけるために、「心の軸を作る6か条」を提示しています。
- 目の前のことにガムシャラに取り組む
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 他人をうらやましがれ!
- できないことより、できることに焦点をあてる
- 三日坊主を繰り返せ
- 先人の力を使う!
この中で自分の経験からも重要だと思えた行動を紹介します。
目の前のことにガムシャラに取り組む
経験上、目の前のことに一生懸命になることの良さは、活動を通じて「自分が集中できるものは何か」ということと、「意味を感じられることは何か」ということを掴めるチャンスがあることだと考えています。
無意識のうちに自分が集中しているものは、自分に適性があることかもしれません。
また、この活動には意味があると思えるものに出会えれば、自分が何のために働いているかを知るきっかけになります。
「自分の得意・好き」と「自分の働く目的」が見えてくると、自分の軸形成に繋がると思います。
先人の力を使う!
本書では年長者の知恵に耳を傾けることが軸を作るきっかけになると教えてくれています。
似ていますが、自分の経験を振り返ると、「この人は凄いな!」「尊敬できる」という「ロールモデル」が見つかると、自分の軸構築に繋がります。
その人との接点から、自分が真似をしたい物の考え方や行動を吸収します。吸収したものを自分のものとして発言・行動していくと、最初はマネかもしれませんが、徐々に自分の一部になってきます。
もし周りに、尊敬できる人がいれば、勇気を持って関係性を構築してみるとよいと思います。
コーチングを受けてみる
これは6か条に無い行動ですが、自身の経験として、コーチングを受けたことは、自分の軸構築促進に繋がりました。
「自分にはやりたいことはない、軸はない」と思っていても、意外と何かしらの想いは心の中にあるのかもしれません。
「既に答えは自分の中にある」ということです。
でも、なかなか言語化し高らかに明言するのは、恥ずかしかったり、怖かったりします。
それを誰か伴走者がいてくれることで、自分の想いとして言語がされていく体験でした。結果として、自分の軸が少し強くなりました。
結論
信頼関係は相手との接点の量が重要
量を増やすためには自分のブレない軸が必要
自分の軸は結果として「接点の質」も高める
軸を手に入れるには諦めずに行動し続けるしかない