チームで発生するコンフリクトを、どう扱ったら良いのだろう?なるべく回避したいけど。。。
チームで働く際には、個人間・グループ間で軋轢が生まれることがあります。
今回はこの軋轢=コンフリクトをどのように捉え、何をすればいいのか紹介します。
コンフリクトの原因と種類
コンフリクトの原因
コンフリクトは主に「仕事関連」と「個人的問題」(パーソナリティ)が原因で発生します。
過去の調査では「仕事の進め方」が主な理由でした。また個人的な礼儀や言葉遣い、性格や価値観でも発生しています。
- 仕事の進め方(38.7%)
- 就業時間(8%)
- 仕事の成績(5.3%)
- 昇進や配置の処遇(5.3%)
- 礼儀作法・言葉遣い(9.3%)
- 価値観。思想・信仰(6.7%)
- 性格(4.7%)
コンフリクトの種類
仕事関連・個人的問題等コンフリクトの要因は一つに特定できないため、以下の通り、異なる性質のものがあります。
- タスクコンフリクト
仕事内容や目標達成に関する考え方の違いにより生じる軋轢 - プロセスコンフリクト
仕事の進め方、リソース配分、裁量権限などによる対立 - エモーショナルコンフリクト
好き・嫌いや相性・人間関係の中での感情的対立
コンフリクトは避けるべき?
従来、コンフリクトは組織のパフォーマンスを落とすため、できる限り避けるべきものと考えられていました。
しかし、最近では組織にとって肯定的に捉える理論が増えています。
特に仕事内容に関する「タスクコンフリクト」と進め方に関する「プロセスコンフリクト」は、組織の業績にポジティブな影響があると考えられています。
一方、「エモーショナルコンフリクト」は非合理的で解消に多大なエネルギーがかかることと、その過程で発生する嫌悪感や不安が仕事の効率や成果にネガティブであるとされています。
つまり、コンフリクトには「生産的」なものと、「非生産的」なものがあることになります。
コンフリクトのメリット・デメリット
コンフリクトの良い効果
具体的にはどのような良い面があるのでしょうか。
仕事内容・目標や進め方についてのコンフリクトは以下のメリットがあります。
- チーム間で役割への理解が深まり、仕事遂行上の関係性が向上する
- 目標や業務遂行方法について、より良い新しい視点を発見できる
- 個人のスキルとして調整能力が発達する
研究結果では、成熟した集団において、メンバーにコンフリクトがあったほうが皆の意見が一致している場合より業績が向上する傾向があることがわかっています。
また、業績の良いチームでは生産的な仕事に関するコンフリクトは発生しますが、人間関係に関する非生産的なコンフリクトは、ほとんど起こらないこともわかっています。
コンフリクトの負の側面
人間関係に関する軋轢や、仕事に関するものでも度が過ぎるコンフリクトは組織に以下の悪い影響を与えます。
- 閉鎖的で活発な意見交換がなくなる
- 適切な協力作業ができなくなる
- 問題が回避され続ける
- 組織の目標を犠牲にする行動が多くなる
このような組織は、新しい視点が出ず、協力もできず、職場課題が認知されなくなってしまいます。
また、問題が回避され続けると、組織が硬直化現象を起こし、ぬるま湯化し、チームとして環境の変化に対応することできなくなります。
その一つの帰結が「イエスマン(ウーマン)だけの組織」です。
この組織では皆の意見は一致していて、コンフリクトは無く、調和がバッチリ取られています。その結果、過去の成功に縛られ、環境の変化に対する議論はされず、変革の必要性に対する感度が鈍り、結果として組織が衰退していきます。
効果的な解消方法
上記通り、コンフリクトは必ずしも悪ではなく、いかに建設的に向き合っていくかが重要です。
コンフリクトに対する対応方法は、「自己主張の強さ」と「相手と協調する気持ちの強さ」に応じて5つの方略があります。
自己主張も協調性も中程度の場合「妥協」という対応をしていることになります。
研究では、「協働」が最も労力がかかりますが、最も互いの利益を最大化する方略といわれています。
「協働」を実現するためのヒント
葛藤解決目標
コンフリクトを解消する目的を「葛藤解決目標」といいます。
なぜコンフリクトを解決しなくてはいけないのかという問いに対する各人の答えです。
この葛藤解決目標にお互いが「組織目標の達成」を掲げた際、最も協働関係に繋がりやすいと考えられています。
意見の食い違いはあるが、共通の組織目標達成のために、何が一番良いのかという視点で話せると、良い解消につながる可能性が高まります。
例えば、運動部で個性ある選手たちが、練習方法や作戦について意見が一致しない時、「全国大会優勝のためには何が一番良いか」という共通の目標が持てると、建設的にコンフリクトを乗り越えられます。
寛大になり敵意を抑える
人は相手の発言が相手自身のためだけではないと思える場合や、寛大な対応を取られると、協調態勢になりやすい一方、敵意や利己的な対応を取られると対決モードになってしまいます。
ただでさえコンフリクトが派生した時は、「ナイーブ・シニシズム傾向」=普段より相手を利己的だとみなしやすくなる傾向があるので注意が必要です。
コンフリクト時は、いつも以上に相手に寛大な態度を示すことが、結果として自己主張しながらも相手の協調を引き出すために求められます。
結論
職場を活性化するには必要最小限のコンフリクトが必須
コンフリクトの回避は組織の硬直化による衰退を招く
組織目標達成という共通ゴールを設定して話すことが建設的
私心に基づき自分のためだけのことを考えていないか内省する