バラバラな職場の結束力を高めるにはどうしたらいいだろう?
目標達成に向けて組織が突き進むためには、一致団結したチーム力が重要になってきます。
実証検証においても、結束力とパフォーマンスに正の関係があることが確認されています。
この結束力を組織行動論では「集団凝集性」と呼びます。
集団凝集性が高い集団がどのような集団で、高めるためには何が必要か。また、凝集性が高いことで起こる弊害についても理解することで、より適切に一致団結を進めることができます。
今日は、この「集団凝集性」について紹介します。
集団凝集性とは
「凝集」という言葉を辞書で調べると、「一か所にこり集まること」とあります。
集団凝集性とは集団の結束力を表すもので、メンバーを集団に留まり続けさせる力です。メンバーが所属する集団に対して感じる魅力の強さといえます。
その結束力は複数の要素で構成されており、以下のようなものがあります。
- 組織の目標やその達成への関心
- 良い仲間やコミュニケーションの存在
- そこのメンバーであるという意識
- 集団の誇り
- 士気の高さ
研究結果によれば、特に①と②がパフォーマンスに与える影響が大きいようです。
結束力の要素である、「納得感のある目標」と、「良い人間関係」が、生産性向上に貢献していると考えられます。
なお、その集団を抜けることで受ける不利益を回避したいという理由で集団に留まる力は、この集団凝集性には含まれません。
集団凝集性が高い集団の特徴
以下の条件が集団凝集性の高低を左右します。
- 一緒に働くメンバーが魅力的か。
- 仲間と価値観が似た者通しであるか
- お互いの関わり合いが活発か
- 集団の目標に魅力があるか
- 集団サイズは適正か
集団凝集性の高いグループでは結果として、メンバーの満足度が高まり、メンバー間のコミュニケーションが増え、場合によっては、メンバー以外の人に対して敵意を抱く傾向が強まることにもなります。
集団凝集性を高めるには?
上記集団凝集性の高い集団の特徴を踏まえて、凝集性を高めるには以下の方法が考えられます。
- 集団の規模を小さくして、メンバーの接点を増やす。
- 集団目標の背景や戦略を説明し、合意を促進する。
- 集団をブランド化してステータスを高める。
- 他の集団との競争関係を構築する。
- 個人ではなく、集団全体への報酬を設定する。
どの点が一番インパクトがありそうか、現組織に足りない部分であるかを考えて、手を打つことで結束力は向上します。
高集団凝集性のデメリット
集団凝集性が重要なのは、組織の生産性と関連しているためでした。凝集性が高いほど集団目標に向かって努力するためです。
しかし2つデメリットというか注意する点があります。
変化できなくなる
所属するメンバーは、他のメンバーから認められたい・受け入れられたいと考えるため、秩序を乱すことを恐れるようになります。その結果、建設的な批判や対立を回避するようになり、非効率な結果を招くことになります。
集団としても、変化に対して抵抗する傾向があるため、何か新しいことを実行する際には、集団規範にも配慮しながら、慎重に実行することが求められるます。
一致団結している分、ストライキや反抗をされたら、強いパワーを発揮します。
組織全体の生産性が下がる可能性
基本的に、高い凝集性は高い成果を生み出しますが、そこには前提があります。
それは「集団目標と組織目標が一致していること」です。
もし組織全体の目標と当該集団の目標が別の方向を向いている場合、集団は組織とは違う方向に全力で走りだします。
結果として、組織全体の生産性を下げる危険性があるのです。
結論
集団の結束はパフォーマンス向上に重要
結束力が高いことは反抗されるときの影響も大きい
目標の魅力を高め、目標の一致を高めることが、凝集性を高めるためにも、その力を効果的に発揮するためにも重要。
【主に学習した本】