組織の風通しを良くして、オープンな職場を作るにはどうしたらいいんだろうか?
組織のパフォーマンスを向上させる要素として、「組織の風通しのよさ=オープンネス」が挙げられます。
今回は、このオープンネスの重要性と影響を与える組織行動について、書籍「OPENNESS 職場の空気が結果を決める/北野唯我」を元に紹介します。
なぜ「オープンネス」に注目するのか?
オープンネスとは、組織における
- 情報の透明性
- 戦略のクリアさ
- リーダーの自己開示性
を意味します。
本書で紹介されている企業へのオピニオンサーベイ結果によると、「人材の長期育成」と「組織の風通しの良さ(オープンネス)」が人々に不満があり、かつ改善した時に組織パフォーマンスに影響がある要素のようです。
その中でも「人材の長期育成」については、期待値が高すぎる現状があり、満足度の高い会社自体が殆どない状況と示されていました。
一方で、「組織の風通りの良さ」は満足している会社もあり、また改善している会社もあるため、取り組むべき課題として取り上げられています。
オープンネスは現在のパフォーマンス、将来のパフォーマンスと相関があり、これは風通しの良さが変化への対応力に繋がるためのようです。
オープンネスを決める3つの要素
組織のオープンネスを決めるのには「三つの要素」があります。
- 経営開放性
どれだけ経営陣が情報を開示しているか。幹部の顔や思想を現場が認知・理解しているか。 - 情報開放性
自分の仕事を意思決定するうえで、十分な情報が容易にアクセスできる状態にあると感じているか。 - 自己開示性
ありのままの自分の才能を自由に表現しても、他者から意図的な攻撃を受けないと信じることができるか。
経営開放性は、いかに経営陣が現場とコミュニケーションできているのかということになります。
情報開放性については、その情報の網羅性よりも、いかに簡単にアクセスできるかのほうが重要なようです。
自己開示性は、職場の心理的安全性に繋がる組織の要素になります。
心理的安全性については、以下の記事をご参照ください。
オープンネスを阻害する3つの要素
一方、オープンネスを邪魔する罠として、以下の3つがあります。
- ダブルバインド
言ってることとやってることが不一致な状態 - トーション・オブ・ストラテジー
戦略がねじれている状態。 - オーバーサクセスシェア
過度に成功ばかりが共有されている状態。
言動不一致が起こると、オープンネスは低下します。組織への信頼が下がるためと考えられます。
人事としては、マネジメント層を評価・観察する際に、言動一致しているかを注視し配置に反映していくことで、オープンネスに貢献できそうです。
また、トップからの戦略が伝言ゲームの中で本来の意図と異なって伝わることも不審を生む要因となります。
経営と現場を正しく繋ぐことが必要で、コミュニケーションエンジンとして人事の出番がありそうです。
人事が経営と現場を繋ぐ価値については、以下の記事をご参照ください。
なお、組織内で成功ばかりが語られ、失敗情報が流れなくなると、オープンネスが阻害されます。
逆に、幹部の失敗談がオープンに語るとオープンネスが向上します。
トップが良いことしか言わない=「白い嘘」をつき始めたら危険信号です。
自分が勤めた会社でも、業績が悪くなればなるほど、良いことばかりが夢のように語られ始めたことがありました。
いつからか現実直視もできなくなり、上手くいってるのかどうなのかも分からなくなってしまいました。
やはり、失敗含め耳の痛いことにも向き合っていく姿勢が、経営陣には必要だと考えています。
オープンネスを復活するための対応
上記の通り、組織のオープンネスにはリーダーが多大な影響力を持っています。
オープンネスがなくなり、業績が悪くなった時にまずすることは、復活するためのリーダーを登用することです。
リーダーにも、成長時にトップラインを伸ばすのが得意なリーダーと、衰退時にコスト管理含め効率化を進めることで立て直すことが得意なリーダーがいます。
まずは、後者を登用するのが第一歩です。
その上で、改革を進めることに前向きな人員を4割以上揃えることが必要です。
4割いれば、徐々に残りの6割へ改革が浸透させていくことができます。
最後にリーダーが組織を変えるためにできることは「役割の再定義」です。
新しい組織における、各人の仕事の意義をリーダーが伝えます。そのために明確な役割を描く必要があり、そのためには戦略が必要となります。
良い戦略については、以下の記事をご参照ください。
まとめ
白い嘘が始まったら要注意。
人事はコミュニケーションエンジンとして情報へのアクセスを簡易にすることで貢献することが可能。
【参照文献】